4回目になる鳥の演劇祭は、1回目が3週、2回目も3週、3回目が4週で、今回はまた3週間の開催です。演劇祭が始まる前は「最終週は無事に来るのだろうか?」と、終わりは来るに決まっているのに、いつも思います。あまりに忙しくて気が遠くなり、いろいろ細かいことも気になって、何だか先が見えないような気になるからです。そして、来ないかもしれないと思った最終週が来ました。金曜から日曜の3日を残すのみとなりました。
ふと思います。「無事に終わりが来るのだろうか?」という不安は、「終わって欲しくない」という願いの別のカタチではなかったのかと。演劇祭は幻です。3週間で消える幻です。一つ一つの舞台の一回性ということは当然ですが、演劇祭のにぎわいを見ながら、いつも幻かもしれないと思うのです。目の前には確かにたくさんのいろいろな地域の、外国の人もいて、小さい城下町を散策したり、芝居を見たり、お茶を飲んだり。私は、この光景をとても美しい幸福なさまだと思う。けれど、一般的な世の中の基準で計るとき、この幸福の価値は伝わりづらいと同時に思うのです。いつも我々を悩ませる数字=観客動員の問題です。
今回、劇場に近接する3つの小中学校に演劇祭全体のチラシを配布し、それに追加して子ども向けの演目に焦点を絞ったかんたんな印刷物と、記入して担任の先生に提出すればそれで親子分の予約が完了するという申込書もくっつけました。どの学校でも、授業や学習発表会に結構関わっているので、保護者の方は鳥の劇場のことは少しは知ってくれていると思います。そして子ども向けの演目は海外のものを中心に、普段はなかなか観れない良質で珍しいものばかりです。私は最低でも親子あわせて30から50人くらいの予約が入るだろうと予想しました。結果は親子あわせてヒトケタでした。かなりショックでした。「ああ、ほんとうに演劇に興味がないんだ」と思いました。
演劇祭の来場者が、演劇祭のことをとても喜んでくださる。来てくれた劇団の人が、日本の人も海外の人も、とても町のことや鳥の劇場を気に入ってくれる。本当にうれしく思います。が、一方できびしい現実もある。だから、演劇祭のにぎわいが終わって欲しくないと思い、同時に幻だとも感じるのかもしれません。
今回は上演会場を増やして、一日の上演数を昨年までの基本2会場から5会場へと一気に増やしました。間口を広げて、観客動員の延べ数ではなく実数を増やせないかと考えたからです。城下町地域全体が演劇祭の色に染まって、その面的な盛り上がりが人を引きつけ、滞留する人を増やすことにつなげたいと思ったのです。一本しか観ないんだけど、なんとなく演劇祭や町の雰囲気が楽しくてその辺をぶらぶらしちゃう、という人をもっと増やしたいというイメージです。
ある程度効果が出ていると感じています。各劇場の席の充足率も悪くないし、カフェでのんびりしたり、町歩きをする人を多く見かけます。けれど、もっと多くの人にこのすばらしい価値を知ってもらいたい。来てさえくれれば、そこに特別な何かがあると感じてもらえると思う。しかし、劇場の入口までの戦略がまだ不十分で、そのことが歯がゆい。
鳥が落とした葉っぱが水面に波紋を広げるというのが、一回目の鳥の演劇祭のビジュアルイメージでした。その目標はもちろん今も変わりません。
最終週、一人でも多くの人に来てもらえるよう、来てくれた人には楽しんでもらえるよう、スタッフ一同、最後の仕上げをがんばらなければいけません。
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