はじめての人も、やったことある人も、
さあ書こう、さあ応募しよう

三ヵ年目の実施に向けて

本コンテストは三年目となります。令和5年度(初年度)は、まずは全国から短編戯曲を集めることを目指しました。戯曲(芝居の台本)創作は、人と人の関係を扱う表現方法です。障害は人と人の間、人と社会の関係の中で生まれるものですから、障害を語るために戯曲ほどふさわしい手法はないと言っても過言ではありません。また、戯曲創作は、どんなに困難な身体状況にある人にも、普通に就労しているなどで時間が限られた人にも参加しやすい表現です。短編戯曲(障害者によって書かれたもの、障害を主題としたもの)の全国公募と優秀作の顕彰を通じて、短編戯曲の創作・上演という文化を日本社会に少しずつ定着させ、これを通じて、障害のある人の思い、願い、苦しみ、喜びが、もっと社会の多数派(いわゆる健常の人たち)に届けられ、差別的・排除的な社会のあり方が、多様な生のあり方を認める方向に変わっていくことを目指しました。同時に障害のある戯曲作家の才能の発掘、育成の機会となることもねらいました。

初年度は全国から予想をはるかに超える244作品の応募があり、聞かれることを求める埋もれた声がこんなにもあるのだということに驚き、事業の意義・手応えを明確に感じました。特に優れた6作品を選んで顕彰しました。一方、舞台で上演されることを前提とする戯曲という形式に慣れていない作品も多く、素晴らしいモチーフであるにも関わらず作品として成功していないものも多くありました。

このことを受けて二年目(令和6年度)は、一年目同様に全国公募を行い(応募作品数は192作品でした)、一次選考を通った9作品を対象にプロ劇作家による伴走支援を行い、各作品をブラッシュアップするとともに、その過程を座談会等を通じて記録し冊子やウェブに残しました。伴走支援による作品の質の向上は顕著で、支援の意義は大きいものでした。それを支援者と作家だけの間の資産とせず広く共有できるものとすることを心がけました。

二年目は以上に加えて、初年度の入選以上の6作品を鳥の劇場において、3作品を米国のクイーンズシアター(NY州)において、リーディング形式で発表を行いました。

今年度も、まずは、二年目と同様に戯曲の全国公募・伴走支援により、優れた作品に出会い、支援し、顕彰し、米国劇場との連携を継続します。さらに国内6ヵ所(鳥取二ヵ所、宮崎、東京、茨城、静岡を予定)においてリーディング上演を行い、本事業の優れた成果をより広く発信し、障害者による、あるいは障害を主題とした戯曲創作をもっと普及させ、芸術的な感動と障害に関する啓発の輪、短編戯曲創作の輪がさらに全国に広がることを目指します。

みなさん、ぜひ、短編戯曲創作に挑戦してみてください。初めての方も大丈夫です。書くためのさまざまなヒントが本事業のサイトに詰まっています。全国各地で開催の戯曲リーディングにも、ぜひ足をお運びいただけたらと思います。

鳥の劇場芸術監督 中島諒人

新着情報

2025年09月07日更新

【公演情報】入選作品リーディング鳥取公演(9月27日・28日)

2025年08月29日更新

【公演情報】入選作品リーディング静岡公演(9月28日)

2025年08月28日更新

【公演情報】入選作品リーディング東京公演(9月5日・6日)

2025年08月04日更新

お盆期間中の作品受付・お問い合わせについて

2025年07月03日更新

【公演情報】入選作品リーディング茨城公演(7月20日)

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作品受付期間

2025年81日(金)  〜  930日(火)

※作品応募には9月23日(火)までの事前エントリーが必要です。

はじめてでも安心!
あなたの作品づくりをサポートします

公式ホームページでは「戯曲ってどうやって書くの?」という初心者の方に向けた動画をご用意しており、初めての応募でも安心してチャレンジできます。

また、一次選考を通過した方には、大岡淳さん、坂本鈴さん、吉田小夏さんら、第一線で活躍する劇作家がオンラインで作品づくりを一緒にサポートしてくれます。

一次選考を通過し、作品づくりサポートを受けた方の声

  • 自分が表現したいことを汲み取ってアドバイスをしていただけたため、のびのび執筆できた。
  • 自分一人で書くよりも広がりや想定外の気づきがある創作体験ができたと強く感じる。
  • 作品の完成度を高めようとする意欲はあっても、これまでは何をどこまでやれば良いか検討がつかなかったが、伴走支援のおかげで、諦めずに追求していく作業ができて嬉しかった。

スケジュール

  • 2025年

    6月末

    参加エントリー受付開始

  • 8月1日 〜 9月30日

    作品受付

  • 10月

    予備選考・一次選考

  • 11月 〜 12月

    選考通過9作品へのプロ作家による伴走支援

  • 2026年

    1月

    最終選考

  • 2月23日

    表彰式・リーディング発表会(鳥取県・鳥の劇場にて)

応募規定

上演時間5分〜10分程度の短編戯曲を募集します。作品が明らかに長いものは選考から除外することがありますので、上演時間は応募前にご自身で音読してご確認ください。

以下の1または2のどちらかであれば、どなたでも作品をご応募いただけます

  • 物語に障がい者が登場する作品
  • 障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)の交付を受けている方が書いた作品
    ※ 選考が進んだ段階で、障害者手帳による確認をさせていただきます。

オリジナル、未発表、未上演の日本語による作品に限ります。

他の戯曲・小説・映画などから引用した場合は、その作品名と引用箇所を明記してください。

一次選考通過作品は英訳され、2026年春のNY・クイーンズシアターでのリーディング上演の候補となります。

入選作品は、2026年2月の表彰式と2026年秋の鳥の演劇祭で、鳥の劇場にてリーディング上演されます。また、原稿料のお支払い、事業の記録集への掲載を予定しています。

選考委員

一次選考委員
および伴走支援担当

(五十音順)

撮影:五味 明憲

大岡淳(劇作家・演出家・批評家)

劇作家・演出家・批評家。1970年兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業。現在、SPAC-静岡県舞台芸術センター文芸部スタッフ、株式会社ゼロメガ相談役、武久出版株式会社編集部顧問、河合塾コスモ講師を務める。主要戯曲作品に、劇団渡辺『帝国』(渡辺亮史演出/2010年)、SPAC『王国、空を飛ぶ!』(大岡淳演出/2015年)、SPAC『1940 ―リヒャルト・シュトラウスの家―』(宮城聰演出/2017年)など。翻訳戯曲に、ベルトルト・ブレヒト作『三文オペラ』(共和国刊/2018年)がある。

メッセージ

戯曲は、俳優の身体に担われることで、劇作家の想定しなかった解釈を施され、さらに観客の耳に届くことで、また新たな解釈を施されるという具合に、他者に開かれ、解釈が解釈を産み、変容し続けるテキストです。戯曲を書く醍醐味は、この終わりのないプロセスを通して、この世界の多様さ複雑さに触れることにあると思います。

坂本鈴(劇作家・演出家・劇団だるめしあん代表・劇作家女子会。リーダー)

1982年熊本県生まれ。昭和音楽大学、桐朋学園芸術短期大学、尚美学園大学、日本大学芸術学部の四つの大学で非常勤講師を務める。戯曲『あの子の飴玉』で部落解放文学賞戯曲部門入賞。女性の性をめぐる問題をポップかつ鋭い視点で描く作風が特徴で、中学・高校演劇大会の審査員として教育面でも活動。WEB漫画の原作執筆など、多彩なフィールドで創作を展開中。

メッセージ

「みんなが書く戯曲のコンテスト」の"みんな"とはいったいなんでしょうか。わざわざ"みんな"と言わなければならないのは、どうしてでしょうか。普段人々が使う"みんな"とは、マジョリティの人たちを指す場合が多いように思います。もしあなたがそこで「みんなに含まれない」と思っても、このコンテストは、あなたの作品を待っています。

吉田小夏(劇作家・演出家・青☆組 主宰)

東京で生まれ、横浜と鎌倉で育つ。桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。

『雨と猫といくつかの嘘』等、4作品で日本劇作家協会新人戯曲賞に入賞。

『初雪の味』で日本演出者協会・若手演出家コンクール審査員特別賞を受賞。

『海の五線譜』で北海道戯曲賞優秀賞受賞。

『Butterflies in my stomach』で八頭高校演劇部の皆と〈鳥の演劇祭8〉に参加。

一貫して市井の人々を描き、心の琴線に触れる美しく繊細な対話劇で、幅広い年代の支持を集める。

NHKラジオドラマの脚本、児童演劇の創作、演劇教育のWS講師、等でも活躍。

メッセージ

幼い頃から親しくしている従姉のひとりは、障害者雇用で働いています。義理の弟はずっと、車椅子バスケの選手でした。私が彼等から感じるものは「ここに何が無いか、ではなく、ここに何が有るか、から考えてみる」という発想です。思えばそれは、演劇的な想像力そのものです。戯曲を通し、あなたの想像力に出会えることが、今から楽しみでなりません。

最終選考委員

(五十音順)

大澤真幸(社会学者)

社会学者。1958年長野県生。東京大学大学院社会学研究科修了。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授等を歴任。著書に『身体の比較社会学』(勁草書房)、『ナショナリズムの由来』(講談社、毎日出版文化賞)、『〈自由〉という牢獄』(岩波書店、河合隼雄学芸賞)、『〈世界史〉の哲学』シリーズ(講談社)、『資本主義の〈その先〉へ』(筑摩書房)等。共著に『ふしぎなキリスト教』(講談社、中央公論新書大賞)等。個人思想誌『THINKING「O」』(左右社)主宰。

メッセージ

このコンテストの選考を、私はとても楽しみにしています。どんな作品が送られてくるのか、ワクワクするような思いで待っています。コンテクストの基本的な狙いは、障がいのある人たちが、演劇の表現を通じて、他者と出会う場を提供することにありますが、同時に、いやそれ以上に、それは、私にとっても他者との出会いの場となるからです。

岡部太郎(一般財団法人たんぽぽの家理事長)

1979年群馬県前橋市生まれ

美術大学在学中に障害のある人の芸術文化活動に触れ、多様な人たちが豊かに生きる社会のデザインを実践したいという思いから、20年以上にわたり奈良のたんぽぽの家で働く。あたらしいアートの可能性を探る「エイブル・アート・ムーブメント」やこれからのものづくり、はたらき方を模索する「Good Job!プロジェクト」の推進をしている。また、アートプロジェクト・舞台公演などの企画制作や障害とアートにまつわる相談支援に取り組むなど、障害のある人の創造性と異分野をつなげる橋渡しをしている。

メッセージ

人がなにかを表現をする方法や選択肢はたくさんありますが、そのなかでも演劇はさまざまな制約がある分、受け手に伝わるインパクトも大きなメディアだと思います。障害があるとはどういうことなのか。障害というキーワードをとおした身体、精神、他者との関係はどんなものだろうか。そこからうまれるあたらしい価値観や希望、あるいは悲しみがあるとしたら、それはどんなかたちをしているのだろう。日々さまざまな人との出会いをとおして、わたし自身も悩んだり考えたりしています。戯曲というフォーマットをとおして、同じ時代を生きるみなさんと出会えるのをとても楽しみにしています。

中島諒人(演出家・鳥の劇場芸術監督)

1966年生。東京大学法学部卒業。大学在学中より演劇活動開始。2004年から1年半、静岡県舞台芸術センターに所属。2006年より鳥取で廃校を劇場に変え、鳥の劇場を創立。二千年以上の歴史を持つ文化装置=演劇の本来の力を社会に示し、演劇/劇場の深い価値が広く認識されることを目指す。芸術的価値の追究と普及活動を両輪に、地域振興や教育にも関わる。2003年利賀演出家コンクール最優秀演出家賞。2010年芸術選奨文部科学大臣新人賞。BeSeTo演劇祭日本委員会代表。

メッセージ

演劇は人と人の関わりを扱うことが得意です。人を喜ばせるのも、悲しませるのも関わりです。関わりの中で生まれる一瞬の言葉、目の表情、息づかい、半歩の動き、これらが時に人の心を温かくし、時に人を深く長く傷つける。瞬間をつかまえてください。関わりの中のちょっとした瞬間にぐいっと光を当てる感じで書いてもらったらいいんじゃないかと思います。

永山智行(演出家・劇作家・劇団こふく劇場代表)

1967年生れ。劇作家、演出家。宮崎県の三股町立文化会館をフランチャイズとする劇団こふく劇場代表。2001年『so bad year』でAAF戯曲賞受賞。2006年から約10年間、公益財団法人宮崎県立芸術劇場演劇ディレクターも務めた。

2007年からは劇団として、障害者も一俳優として参加する作品づくり(みやざき◎まあるい劇場)をはじめ、質の高さ、活動の社会的な広がり、その両面から高く評価されている。

2022年4月に初の戯曲集「ロマンス/いきたひと/猫を探す」(而立書房)を刊行。

メッセージ

戯曲を書くということは、それぞれが「わたしの窓から見た風景」を表明することだと思うのです。ですから、さまざまな「わたしには世界がこう見える」が集まったとき、はじめてほんとうの対話が生まれていくのだと思うのです。どうか、お気軽に、あなたの窓から見える風景をお寄せください。

森田かずよ(義足の女優・ダンサー)

先天性の障害を持って生まれ、18歳より表現の世界へ。ダンサー、俳優として活動。近年は障害のある人を含めた多様な人とのワークショップやダンス公演の演出を行う。東京2020パラリンピック開会式にソロダンサーとして出演。福祉をたずねるクリエイティブマガジン「こここ」にて「森田かずよのクリエイションノート」を連載中。大阪大学人文学研究科博士後期課程在籍中。2022年度 舞台芸術国際共同制作オブザーバー。「Performance For All People.CONVEY」主宰。NPOピースポット・ワンフォー理事長。

メッセージ

「障がい」という言葉に、どのようなイメージがあるでしょうか。差別、克服、感動?誰かが持つイメージではなく、あなたの生きる世界から見つめて欲しいのです。まだまだ描かれていない「障がい」の、いえ、「障がい」そのものを問うような、新たな一面が見られる、そんな物語に出会うことを楽しみにしています。

ロブ・ウルビナーティ(劇作家・クイーンズシアター[アメリカ・NY])

ニューヨークを拠点に活動するフリーランスの演出家・作家。これまでにサミュエル・フレンチ、ネクストステージプレスなどから戯曲が出版され、世界中で200回以上上演されている。クイーンズシアターのニュー・プレイ・ディベロップメントディレクターを務めており、ドラマティスト・ギルドの会員でもある。ドラマリーグディレクターカウンシルのメンバーであり、オーディオディスクリプション・インスティトゥートの認定も受けている。

メッセージ

クイーンズシアターによる障がいのあるアーティストと観客のための取り組み、シアターフォーオールの中で最も成功した事業のひとつが、障がいのある劇作家による、もしくは障がいのある登場人物がいる短編戯曲のプログラムです。鳥の劇場がこのモデルを活用してくれることを嬉しく思います。

参加方法

作品は、受付期間中にメール・郵送・持ち込みのいずれかで受け付けます。

応募のための詳細をお送りしますので、まずはお気軽に事前エントリーをお願いします。

参加エントリーフォーム

戯曲の書き方ビデオ

戯曲の書き方ビデオ(日本語字幕付き)

戯曲の書き方ビデオ(日本語字幕・音声ガイド付き)

2025 戯曲コンテスト表彰式リーディング上演会

入選作品リーディング
全国各地公演

令和5・6年度に実施された「みんなが書く戯曲のコンテスト」の入選以上の作品から各地ごとに数本を取り上げ、それぞれの演出家、俳優がリーディング形式で公演を行います。

公演情報は詳細が決まり次第、「新着情報」にて随時発信します。ぜひ足をお運びください。

公演実施予定地域

  • 茨城県
  • 東京都
  • 静岡県
  • 鳥取県
  • 宮崎県

本事業についての
お問い合わせ

「戯曲コンテスト」事務局

E-mail

gikyoku.disability@gmail.com

〒680-0031

鳥取市本町1丁目201 ミュトスビル2階

TEL・FAX 0857-30-0676