米国NYのクイーンズシアターは、舞台芸術を媒介にしての多文化共生のための活動をさまざまにおこなっています。同劇場とは、今まで障がいを主題にした短編戯曲のリーディングや日本でのコンテスト実施などを行ってきました。今年は新しい挑戦として、同劇場から注目作家として紹介された日系アメリカ人劇作家による戯曲のリーディング公演に取り組みます。ダリア・ミエコ・マリネッリさんは気鋭の作家で主要なリージョナルシアターからも注目される存在。彼女の不思議で壮大な世界を紹介します。
アミコはこれまで母親とロードトリップをしたことはない。シャロンも、母と子のロードトリップなど見たことも聞いたこともない。そんな勇敢な(?)先駆者たちは、ついに車で西へ向かいます。制限速度を時速10マイル超えて走り続ける、ばかばかしくも可笑しく、詩的で、それでいて胸をえぐるような旅。しかし突然、アミコの車のラジエーターが故障してしまいます。これは、彼女たちの物語。たぶん。そして、もう一度。さらに、もう一度。
作:ダリア・ミエコ・マリネッリ
演出:中島諒人(鳥の劇場)
出演:たきいみき 中川玲奈(鳥の劇場) 中島ここ
アフタートーク登壇:ロブ・ウルビナーティ
舞台美術:中垣直久
中島諒人
アメリカ人の書いた戯曲は、現実の時間や場所に立脚したテレビドラマ的なものが多いという印象だったのですが、この作品は実に自由です。時間の扱いも自由ですし、場所も自由に移動します。鳥にさえなり、別の時間を旅しさえします。そしてやがて自身のルーツと名前の複雑な関係に出会います。歴史、民族、国家という大きな河、そして家族という細い川、その両方に翻弄されながら人は生きていく。それを見事に感じさせる作品です。
ダリア・ミエコ・マリネッリ
20代の頃、私は母と、静かに激しくぶつかり合うようなもつれた口論をよくしていました。(きっと同じ経験をした人も多いと思います。)そしてある日気づいたのです、本当はどちらも喧嘩なんてしたくないのだと。それでもお互いにどうしようもなく腹を立てていた。この戯曲は、自分のことを誰よりもよく知っているはずなのに、まったく理解してくれない、それでも自分のためなら命すら差し出す相手に、「私を見てほしい」と願い、「私を理解してほしい」と求めることについての物語です。あの頃から10年以上が経ち、今では母と良い関係を築けていることに感謝しています。成熟するというのは、本当に素晴らしいことです。とはいえ、この作品は、あの頃の私たち母娘に捧げるものです。そして今まさに、同じような時間を過ごしているすべての人へ。
ダリア・ミエコ・マリネッリ(they/she)
劇作家、脚本家、気候変動アクティビスト。既成概念にとらわれない人々や「居場所」をテーマに作品を創作する。
作品はLa Jolla PlayhouseのWOWフェスティバル、Atlantic Theater Company、HERE Arts Centerなどで上演され、Cirque du SoleilやRoundabout Theatre Companyなどでも作品開発を行ってきた。映像分野ではHill District Mediaと協働し、オリジナル脚本がThe Black Listの「NRDC Climate Storytelling Fellowship」および「Sloan × Sundance Episodic Lab」のファイナリストに選出されている。
The Ollie Award受賞。ブラウン大学卒業後、テキサス大学オースティン校で劇作のMFAを取得。現在はロサンゼルスを拠点に活動しているが、心の中ではずっとニューヨーカーである。
主催:特定非営利活動法人鳥の劇場
助成:文化庁文化芸術振興費補助金 劇場・音楽堂等機能強化推進事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業)独立行政法人日本芸術文化振興会 令和8年度 鳥取県 優れた演劇の創造・発信等による芸術振興及び地域活性化事業
本事業は鳥の劇場と、クイーンズシアター(エグゼクティブディレクター:フリア・デル・パラシオ)のコラボレーションにより実施されます
